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九州技報 第40号 論文

白滝橋PC床版打換工事の施工報告

九州地方整備局 神田 慶宣

 

1.はじめに
 白滝橋は大分市内に位置し国道10号線の一級河川大野川を渡河する地点に架設された橋長293.254 mの1等橋である。現道上り線(旧橋部)は昭和27年に、現道下り線(既設橋)は昭和56年にそれぞれ架設された。旧橋部においては、老朽化に伴い、架替を検討する中で、現位置での架替よりも現道の下流側に新設橋を架替えて、道路線形をシフトした方が、経済性、工期等総合的に比較検討の結果すぐれているため現在の位置に平成17年3月に完成した。本工事である既設橋は橋脚耐震補強を考慮した死荷重の軽減と上部工のB活荷重に対応させるため、既設RC床版(t=230mm)を新設プレキャストPC床版(t=180mm)への取替えを行う工事であり、本補強工事が完成後に旧橋を撤去する計画となっている。このため、既設橋の床版打換は旧橋と新設橋に車両通行を確保する事で全面通行止めでの施工が可能となった(写真-1)。本稿では、RC床版撤去から、PC床版架設までの一連の施工方法について報告する。

 

 

位置図

 

 

写真-1

 
2.工事概要
 工事概要を以下に示す。本橋は鋼箱桁であり3径間連続の非合成構造部と単純構造の合成構造部2径間(図-1)で構成される。

構造形式:

単純活荷重合成2箱桁橋+3径間連続非合成2箱桁橋+単純活荷重合成2箱桁橋

橋   長:

293.254 m

支   間:

55.604m+60.400m+61.000m+60.400m+52.100m
    

図-1 側面図


3.床版撤去
 本橋の床版取替えは当初計画では既設床版上より既設床版(橋軸方向に2.00mごとに切断した版)の撤去を行い、その位置に新設プレキャストPC床版を数枚ずつ架設していく作業を繰り返し行うように計画されていた。しかし、本工事は全面通行止めでの施工が可能であることから先行して既設RC床版を全面撤去したのちに新設プレキャストPC床版を片押しにて架設する方法に変更した。
 
3-1 非合成桁部の撤去
 非合成桁部の床版は運搬等の施工性を考え、橋軸直角方向は3分割とした(図-2)。地覆部はコンクリートカッター及びワイヤーソーにより橋軸方向に6.0m間隔で切断し(写真-2)、床版部はカッターにより2.0m間隔で切断を行なった(写真-3)。

図-2 非合成桁部の床版分割方法

写真-2 非合成桁部の地覆撤去状況

 

 

  

写真-3 床版切断状況

 床版切断作業時には大量の削孔水が発生する。この削孔水は強アルカリ性であるためろ過器を通した(写真-4)後に排水を行った。床版はカッターで切断後に床版剥離機を使用して撤去を行った(写真-5)。

写真-4 削孔水のろ過状況

写真-5 床版剥離機

 
3-2 合成桁部の撤去
合成桁部についてはジベル筋が密に配置されているため、非合成版と同様の撤去方法では床版が剥離しない状況であった。このため、合成版部については、ジベル筋の直上のコンクリートを残す形で橋軸方向にカッター切断して図-3のように①~③の順序で床版をクレーンにて撤去してから,④のジベル部分をはつり作業により撤去を行った(写真-6)。
地覆部(写真-7)及び箱桁間の中央部分の床版(写真-8)については非合成板と同様に地覆部はコンクリートカッターにより切断し、床版部分については床版剥離機を使用して撤去を行った。

 
 
合成版の撤去順序
  ① 両サイドの地覆・張出床版を撤去
        ↓
  ② 中央部分を剥離の後、撤去
        ↓
  ③ 主桁中央部分の撤去
        ↓
  ④ ジベル部分をはつり、撤去(写真-9)

図-3 合成桁部の床版分割方法

 

 

写真-6 合成桁部 床版撤去状況

 

写真-7 地覆撤去状況

 

写真-8 中央部分の撤去状況 

写真-9 ジベル部の撤去状況


4.鋼桁補修
 既設床版を全面撤去してみると,箱桁上面の塗装の劣化(写真-10)が見受けられ,また,ボルトの腐食(写真-11)が著しく断面欠損しているものもあり,箱桁上面のボルト全数を橋梁定期点検要領(案)1)により調査・判定(表-1)を行なった。

写真-10 箱桁上面 塗膜の劣化

写真-11 ボルトの腐食状況

 
表-1 ボルトの対策区分
損傷程度の評価区分
対策区分の判定
現場における補修対策

a

A

 対策の必要なし,3種ケレンA

b

A

 塗替え塗装時の3種ケレンAで対応

c

B

 次回点検不可のためボルトの交換で対応

d

C

 ボルトの交換で対応

e

C

 ボルトの交換で対応
※損傷程度の評価区分および対策区分の判定は橋梁定期点検要領(案)に基づき判定を実施した。補修対策については現場での判断である。

 

4-1 箱桁上面の補修
 箱桁上面の塗替え塗装は箱桁内と同様に閉断面部材の内面と考え,耐水性に優れるD-1系塗料で塗替え塗装(写真-12)を行った。
 ボルトについては対策区分の判定でB判定以上となった箇所について取替えを実施した。通常,B判定は取替えの必要はないが,次回の点検が不可能であることから,今回ボルトの取替えを実施した。
 本工事は全面通行止めでの作業であり,既設床版撤去後に支承取替えを行なうことから,新設PC床版を設置するまでに時間の余裕があり,工程のロスがなく施工が可能であった。
 本橋のような箱桁では床版取替えを行うときにしか箱桁上面は確認できず,床版取替え後には対応することができない部位であるため,今後同様のケースがある場合には当初から箱桁上面の調査を行い,対策を講じることが必要であると思われる。

写真-12 塗替え塗装の施工状況


5.沓の取替
 床版取替と同様に沓についてもB活荷重に対応させる為、既設の沓を撤去し新設沓に取り替えた。以下に沓取替のフローチャートを示す(図-4)。
 既設沓は、鋼桁に溶接された状態であった為、ガウジングにて慎重に鋼桁より切り離しを行った(写真-13)。また、新設沓のアンカーバーの削孔の為、総重1200tの桁を30cm程度ジャッキアップしなければならなかったが、鋼桁に歪みゲージを取り付け、応力測定を行いながら施工を行った(写真-14)。
図-4 沓取替フローチャート
写真-13 既設沓切離し状況
 
写真-14 ジャッキアップ状況


6.床版の架設
 先行して既設RC床版を全面撤去した後に、箱桁上面の塗替え塗装工及び腐食部のボルトの取替えを実施した(写真-15)。その後、新設したプレキャストPC床版(12.550m×2.000m×0.190m,120t/枚)を70tクローラークレーンにて片押しで架設を行った(写真-16)。
 新設プレキャストPC床版を架設完了後に、スタッドジベルの打設を行ない(写真-17)順次、床版間の目地モルタルを充填した(写真-18)。各径間ごとに新設床版の据付けが完了した後に縦締め緊張を行なった。縦締め緊張の作業完了後にジベル部分を無収縮モルタルにて充填した。

写真-15 既設床版撤去完了

 

写真-16 PC床版架設状況

 

写真-17 スタッドジベル打設

写真-18 目地モルタル充填状況

7.終わりに
 本工事の施工に於いては、床版取替え方法の変更等により工期短縮を図りながら無事完了することが出来た(写真-19)。特に現場条件として全面通行止めでの施工であったことや、既設床版の撤去後に箱桁上を足場として利用できたことなども工期短縮の一因であった。
 本橋のように全面通行止めでの施工が可能な現場での床版取換え工事は少ないと思われるが、老朽化・交通量の増大・融雪剤の散布による塩害等によって今後増加すると思われる床版取換え工事の一例となれば幸いである。

写真-19 PC床版架設完了

供用開始状況

 
 参考文献
 1)国土交通省 道路局 国道・防災課
   橋梁定期点検要領(案)平成16年3月
 
 
 
 
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